ノスタルジックな温もりある雰囲気の中に
夏帆の少女のようなきらめきを、息づかいを写真に閉じ込めた、
魔法のような写真集。
撮影を担当するのは、石田真澄。独学で写真を学び、「GINZA」や「POPEYE」といった雑誌で活躍するほか、2018年には「カロリーメイト」の広告クリエイティブに当時19歳で抜擢されるなど、異例の実績を持つ現在23歳の若手写真家の急先鋒。
「おとととい」とは、石田が子供の頃から使っている「一昨日の前の日」という意味の言葉。イノセントでどこかノスタルジックな響きのする言葉を写真集のタイトルに据えた。
石田の写真の創作手法は、日常の光景を撮り続けたスナップショットを集積させるというものが中心。本写真集では、夏帆の日常を、石田の目を通して追い続けた。ごく普通の毎日が、石田の手によって瑞々しく、ダイヤの原石のようにキラキラ輝く。
撮影は、2年間の時間をじっくりかけて。被写体・夏帆との距離がだんだんと近づいていく。旅行に行ったり、ふとした散歩の様子を撮影したり。ついには、夏帆も意識することができない、寝顔の様子をとらえるまでに。呼吸を合わせて、生活するように、空気のように絶妙の距離で撮影された写真は、撮り手と被写体の化学反応によって、思ってもないシーンを生み出し、そのときだけの特別な1枚1枚になっていった。映し出されるのは、余分なものをそぎ落とし、より純粋な存在として映し出される、ただの「夏帆」だ。